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がん遺伝子パネル検査

保険診療でがん遺伝子パネル検査を受けられる患者さんへ

札幌厚生病院は、北海道大学病院(がんゲノム医療中核拠点病院)と協力しながら、必要とする患者さんにがんゲノム医療が届けられるよう体制整備を進めてきました。2021年4月よりがんゲノム医療連携病院に指定を受け、2021年11月から保険診療のもとがん遺伝子パネル検査を行っています。患者さんが、より良い医療が受けられるよう主治医を中心に関係職種が連携し支援していきます。不安や疑問なことは主治医や看護師等にご相談下さい

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1.がん遺伝子パネル検査とは

 「がん」は様々な遺伝子の異常が積み重なることで発症し、たとえば同じ肺がんであっても、その「がん」の部分に生じている遺伝子の変異は患者さんごとに異なることがわかってきました。さらにその遺伝子の変異の中には、がん細胞の生存に重要な特定の遺伝子が存在することが知られるようになり、既に特定の遺伝子の変異を標的とした治療薬(分子標的治療薬)が日常診療で使われています。

 現在、日常診療の中で行われる検査では、遺伝子変異のごく一部しか調べることができません。「がん遺伝子パネル検査」は、がんの発生に関わる複数の「がん関連遺伝子」の変異を一度に調べることのできる検査です。パネル検査では、通常100種類以上の遺伝子を調べることが可能です。選択するパネル検査の種類によって調べる遺伝子の数や種類は異なります。それぞれの患者さんがもつ「がん細胞」の遺伝子変異の組み合わせが明らかになることで一人一人にふさわしい治療を行なうことにつながると期待されています。(治療対象となる遺伝子変異が見つかっても、全ての方が治療に結びつくとは限りません) 

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2.保険適用の対象となる患者さんについて

  • 標準治療が終了した固形がん、または原発不明がん希少がんなどの患者さん(終了が見込まれる患者さんを含む)
  • 本検査施行後に化学療法や治療を受けるのに全身状態や血液検査で問題のない患者さん
標準治療
科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であり、患者さんに行うことが推奨されている治療

原発不明がん
充分な検査を行っても、がんが最初に発生した臓器かはっきりせず、転移巣だけが大きくなったがんのこと

希少がん
患者数が少なくまれながんのこと

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3.検査の費用と種類について

1)がん遺伝子パネルの種類について

保険診療の対象となるがん遺伝子パネルの種類は、下記5つがあります
「OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム」
「FoundationOne®CDxがんゲノムプロファイル」
「FoundationOne®LiquidCDxがんゲノムプロファイル」
「GUARDANT360ⓇCDxがん遺伝子パネル」
「GenMine TOP がんゲノムプロファイリングシステム」
  検査の種類 解析遺伝子 販売企業
OncoGuideTM
NCCオンコパネルシステム
組織+血液 124遺伝子 シスメックス
FoundationOne® CDx
がんゲノムプロファイル
組織 324遺伝子 中外製薬
FoundationOne®LiquidCDx
がんゲノムプロファイル
血液 324遺伝子 中外製薬
Guardant360®CDx
がん遺伝子パネル
血液 74遺伝子 ガータントヘルス
GenMine TOP
がんゲノムプロファイリングシステム
 組織+血液 DNA:737遺伝子
RNA:456遺伝子
コニカミノルタ
 がん遺伝子パネル検査は、患者さんの経過、組織検体の有無・量・状態、各検査の特徴をふまえ主治医と相談し決定します

2)費用について

がん遺伝子パネル検査は、保険診療として実施されます。高額療養費支給の対象となる可能性があります。費用は、検査を受ける時と、結果を聞くときの2回に分けて料金の支払いが必要です。
(1)がん遺伝子パネル検査の費用
1割負担の方 44,000円
2割負担の方 88,000円
3割負担の方 132,000円
(2)検査結果説明時の費用
1割負担の方 12,000円
2割負担の方 24,000円
3割負担の方 36,000円
 検査後の治療費は含まれていません。検査の結果を元に治療を行う場合には、主治医と相談の上、実施することになります。

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4.検査を受けることで役立つこと

  • 治療選択に役立つ可能性がある遺伝子変異がわかる可能性があります
  • 治療効果が期待できる国内で承認済の治療薬の情報が得られる可能性があります
  • 治療効果が期待できる国内で臨床試験(治験等)中の治療薬の情報が得られる可能性があります

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5.検査を受ける際の注意点(重要)

  • 本検査を利用しても、がん診断や治療に有用な情報が得られない可能性があります
  • 本検査は、治療効果が期待できる治療薬の情報を提供しますが、その治療薬が患者さんの治療効果を保証するものではありません
  • 本検査であなたのがん細胞で起こっている遺伝子変異に対して効果が期待される薬剤が見つかったとしても、あなたのがんに対して承認されていない場合や薬剤が入手できない、あるいは投与ができない可能性もあります。また、保険診療で使えない薬剤の場合は、治療費は自費となります

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6.検査の流れ

 
  • がん遺伝子パネル検査をご希望の際は、主治医にご相談下さい
  • がん遺伝子パネル検査については、がん相談支援センターでも情報提供を行っています。どのような検査かお知りになりたい時等、お気軽にご相談下さい
外来
1回目
 
  • 主治医から、患者さんとご家族にがん遺伝子パネル検査について説明します
  • 主治医の説明後、看護師等が不安や疑問に対応します
  • 今後のスケジュールや費用について説明します
  • 次回受診日を相談します
  • 次回受診日までに、がん遺伝子パネル検査を受けるかどうか考えて来て下さい
  • ご家族の同席を希望される場合は、受診時に一緒に説明を聞くことができます。また、主治医からご家族の同席をお願いする場合があります。
外来
2回目
  • 主治医の診察があります
  • がん遺伝子パネル検査を受けるかどうか、患者さんのご意向を確認します
  • がん遺伝子パネル検査に同意される場合は、同意書に署名をして頂きます
  • がん遺伝子パネル検査に必要な採血等の検査を行います(検査日が後日になる場合もあります。その際は別途ご案内致します)
  • がん遺伝子パネル検査に必要な採血等を行った日に、遺伝子パネル検査費用がかかります。検体を発送し、がん遺伝子パネル検査が行われます
  • あわせて必要な書類等を準備し北海道大学病院に連絡します
  • 結果説明日には、ご家族の同席をお願いします
  • 検査の結果は約6週間かかります                                            (検査の種類によって結果到着までの期間に差が生じます)
医療者間
治療方針の検討
  • 検査結果はわかり次第、当院と北海道大学病院の医師が連携を図り患者さんに有効と思われる薬剤の情報を検討します。その後、主治医が院内で関係職種と協議し治療方針を検討します
  • 治療方針の検討期間として1週間~2週間前後かかる場合もあります
外来
3回目
  • 主治医から結果の説明と今後の治療方針について説明します
  • 結果説明日には、ご家族の同席をお願いする場合があります
  • 主治医の説明後、看護師等が不安や疑問に対応します
  • 検査結果時に費用がかかります
  • 遺伝性腫瘍が判明した場合は、患者さん、ご家族の意向をふまえ遺伝カウンセリングの日時を調整します
北大と当院の連携イメージイラスト

がんゲノム医療中核拠点病院と連携し患者さんに有効と思われる薬剤の情報を検討します

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7.検査後の治療について

  • 現在、保険診療で認められている標準治療が行われている患者さんは、その標準治療が優先され、がん遺伝子パネル検査の結果に基づく治療は標準治療が終了した後の選択肢として考慮されます
  • がん遺伝子パネル検査の結果、現在行われている治験に登録が可能と考えられた場合、主治医と今後の治療方針について検討していきます

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8.遺伝カウンセリングについて

  がん遺伝子パネル検査では、患者さんの治療に役立つ情報とは別に「遺伝性腫瘍」の可能性が判明することがあります。遺伝性腫瘍の可能性を知ることで、精神的な負担となることもありますが、患者さんや血縁者が、がんの予防や早期発見ができる可能性が高まると考えることもできます。遺伝性腫瘍に関する結果を知りたいか、知りたくないか、主治医がその意志をお伺いします。検査結果で遺伝性腫瘍の可能性が有る場合には、当院で臨床遺伝専門医の診察を受けることが可能です(遺伝カウンセリング)。

 遺伝カウンセリングは、疾患の遺伝学的関与について、遺伝性疾患の患者さんや家族・関係者が、その医学的影響、心理学的影響および家族への影響を理解し、それに適応していくことを支援していきます。将来的なリスクや状況に対する十分な情報を得た上で、今後どうしていくことが患者さんや家族・関係者にとって最良なのかを共に考え、患者さんや家族が今後どうするかを自ら選択し今後について意思決定できるよう診療や支援を行います。

遺伝性腫瘍
生まれながらに持っている遺伝子の性質の違いが原因で「がん」になりやすい体質になることがあります。このような「がん」のことを遺伝性腫瘍と呼びます。

札幌厚生病院_遺伝子相談科の受診について

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9.お願いしたいこと

  • がん遺伝子パネル検査では、手術等の組織検体が必要となります。検査に必要な検体の品質や量によっては、がん遺伝子パネル検査自体が困難となる場合や再検査が必要となることがあります
  • がん遺伝子パネル検査に必要な検体や書類等を北海道大学病院に提出し、結果が出るまで約6週間の時間が必要となります。必要な検体の状態によっては、更に時間を要する場合がありますのでご了承下さい
  • がん遺伝子パネル検査の提出は、外来診療の範囲で行います
  • がん遺伝子パネル検査をご希望の際は、ご家族にもご相談をして下さい。医師からの説明時は同席をお願いしています
  • がん遺伝子パネル検査を希望され、不安や疑問がある場合、がん遺伝子パネル検査を希望され、意向等の変化があった場合は早めにご相談下さい

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10.相談窓口

 がん遺伝子パネル検査や今後のスケジュールについて、不安や疑問がある場合は、下記にご連絡下さい。主治医や関連職種と連携を図りながら、ご相談に対応致します。
  • 相談時間:平日8:30~17:00(夜間や休日は対応できません)
  • 電話番号:011-261-5331
  • 札幌厚生病院  がん相談支援センター

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11.がん遺伝子パネル検査についての情報提供

最終更新日:2024年06月18日

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