生殖内分泌(不妊症)治療について
生殖内分泌(不妊症)治療について
晩婚化に伴い、「妊娠したいのに、なかなか授からない」と悩み、焦るカップルが増加してきています。もし婦人科的異常がなかったとしても、女性は年齢が進むにつれて妊娠できる力は低下することがはっきりしています。また、不妊症の原因の半分は男性にもあることがわかっていますが、まだ男性の受診率は低いままです。
生殖年齢にある男女が避妊せず一定期間の性生活を営んでいるにもかかわらず、妊娠できない状態のことを不妊症と呼びます。不妊症となる素因がなければ1年以内に80%、2年以内に90%の方が妊娠すると言われておりますので、なかなか妊娠しないなと感じておられるご夫婦、比較的遅めの年代でご結婚なさった夫婦、もともと月経不順や月経痛があり不安がある女性は早めにご相談ください。
当院の特色
総合病院の生殖内分泌外来であるため、他科の疾患を基礎疾患としてお持ちの方でも、各診療科と連携をとりながら診療を受けていただくことができます。また、子宮筋腫や内膜ポリープ、卵巣腫瘍の手術に対応することができ、体外受精も含めて、総合的に不妊症に対する治療を行うことができます。
当院では、2012年に婦人科病棟内に採卵・移植室や培養室等の現在の生殖補助医療施設が開設されました。卵子・精子にできるだけ良いと考えられる環境を実現するため、細かくこだわって設計されています(紫外線のでない室内照明、学会基準を上回る空気清浄度を保つよう温度管理された培養室、揮発性有機化合物除去装置を設置したクリーンベンチ)。ブラックアウト等の急な災害や異常にも即応できるように、培養器の24時間監視・異常通報システムを導入しています。
画像集
現在、札幌厚生病院には日本生殖医学会認定生殖医療専門医2名、日本卵子学会・日本エンブリオロジスト学会認定胚培養士3名、日本不妊カウンセリング学会認定看護師1名が在籍しています。
外来診療体制
原則完全予約制です。初診はあらかじめ婦人科外来にお問い合わせいただき、受診日時をご相談させていただきます。紹介状がなくても受診可能ですが、選定医療費が別途かかることになります。
生殖補助医療は方法によっては高額な医療費を必要とする治療がありますが、助成金や任意でご加入されておられる保険で負担を軽くすることもできますので、お気軽に担当医にご相談ください。
一般不妊治療・生殖補助医療
札幌厚生病院では、一般不妊治療から高度生殖補助医療まで対応しております。
不妊原因となる子宮内膜症、卵管水腫、子宮筋腫等の婦人科疾患を手術し、不妊症の治療を行うことができることが、総合病院で不妊治療を行うメリットの一つでもあるかと思います。
不妊原因となる子宮内膜症、卵管水腫、子宮筋腫等の婦人科疾患を手術し、不妊症の治療を行うことができることが、総合病院で不妊治療を行うメリットの一つでもあるかと思います。
ご夫婦のご年齢、手術歴、診察経過、ご希望など、いろんな側面からアプローチを行い、場合によっては子宮鏡・腹腔鏡での手術や、早めの人工授精・体外受精へのステップアップを提案させていただく場合もあります。
また、当院は日本産科婦人科学会認定の着床前診断(PGT-A, SR)実施施設です。妊娠しても流産を繰り返してしまう方や、体外受精に進んだけれどもなかなか結果がでないという方に関しては、より専門的な目で検査・治療をすすめていくことになります。
不妊症治療の流れ
問診、スクリーニング採血、おりもの検査
- 年齢、身長体重、手術歴、月経歴などをお伺いします。問診票のご用意がありますので、不妊症検査/治療を希望の方は、予約時にお伝えください。
- 女性の卵巣機能の検査に関しては、月経周期によって超音波所見、ホルモン値は大きく変動しますので、何回かに分けて検査をします。
- そのほかにこれからの妊娠の負担となるような合併症がないかどうかを確認します。他の病院で妊娠を止められている場合は、必ず申し出てください。
精液検査
- 精液中の精子を調べる検査です。
- 夫、パートナーの男性の検査です。
- 不妊症治療・検査は必ずご夫婦で検査をすすめます。
- 2-5日間の禁欲後、専用容器に精子を採取し、持参いただきます。ただ、精子は毎日作成されるものなので、数日で所見が10-20倍近く変動することもあります。1回の検査で正常/異常が判断されるわけではありませんので、ご注意ください。
がん検診
- 婦人科頸がん検診は1年ごとの実施を推奨します。
- 乳がん検診は40歳以上の方や家族歴のある方は推奨しますが、それ以外の方でも体外受精に移行した場合は実施を推奨します。
血圧測定、体重測定
- 毎月1回測定します。
- こちらでも確認しながらお声かけいたしますが、通院中の方は、月の最初に血圧測定を行って印字された紙を渡してください。
必要書類
- 戸籍謄本
当院では事実婚の方でも不妊症検査・治療を行うことができますが、それぞれの戸籍謄本+住民票+事実婚に関する同意書が必要です。(一般不妊治療同意書/高度生殖医療治療同意書)
人工授精
排卵の時期にあわせて、女性の子宮の中に夫(パートナー)の精子を直接注入する方法です。子宮の手術後(円錐切除術など)や射出不全、原因不明不妊などが適応となります。この治療をうけるためには、事前に後述の同意書提出の他、男性の感染症の採血を実施していただく必要がありますので、ご確認ください。
体外受精・胚移植
一般不妊治療ではなかなか妊娠が望めない場合(卵管が閉塞していて卵子と精子が出会うことができない場合、子宮内膜症や感染症で骨盤内に癒着がある場合、精子が極端に少なかったり運動率が悪い状態で正常な受精が難しいと思われる場合、高年齢などで卵巣機能が著しく低下している場合など)に、女性の卵巣から卵子を回収(採卵)し、持参した精子と体外で受精させ、培養した胚を子宮内に戻す(胚移植)行為をいいます。
採卵
排卵誘発剤を使用し、卵胞を同時に多数育て、麻酔下で経腟的に超音波ガイドで卵巣を穿刺して卵子を採取します。
受精
採卵した卵子と精子を体外の一定の環境下で受精するように促します。受精障害や精子数が極端に少ない場合は顕微授精という方法を併用します。
胚移植
受精卵は数日培養した後に子宮内に戻したり、一旦凍結保存して後に子宮の条件を整えるホルモン補充周期に戻したりします。
適応
札幌厚生病院では生殖補助医療の適応については日本産科婦人科学会の見解を遵守して実施しています。
- 人工授精・体外受精は法的に婚姻関係のあるご夫婦に限らず、事実婚でも実施することができます。
- 治療の際は、戸籍謄本(事実婚の場合はお二人それぞれの戸籍謄本)、治療に関する同意書、事実婚の場合は事実婚に関する同意書の提出が必要です。
- 人工授精の実施は女性の年齢が原則45歳未満としています。
- 体外受精の採卵年齢の上限は45歳未満、胚移植も45歳を過ぎた患者さんにはできるだけ早めに終了するようにさせていただいています。がん生殖医療等の特殊な症例に限り50歳未満を最長としています。