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がんゲノム医療支援室 がんゲノム医療支援科

がんゲノム医療支援室 がんゲノム医療支援科

医療の目覚ましい進歩の一つとして「がんゲノム医療」が注目されています。ゲノム医療を必要とするがん患者さんが、全国どこにいても、「がんゲノム医療」を受けられる体制を構築するため、厚生労働省は「がんゲノム医療中核拠点病院」を全国に13カ所、「がんゲノム医療拠点病院」を32カ所指定し、各「がんゲノム医療中核拠点病院」および「がんゲノム医療拠点病院」と連携する「がんゲノム医療連携病院」を219カ所公表(2024年6月1日現在)しております。
 当院も2024年2月より「がんゲノム医療連携病院」の指定を受け、十勝圏で唯一のがんゲノム医療を提供できる病院として、北海道大学病院(がんゲノム中核拠点病院)と協力しながら、今後もより良い医療の提供を目指していきます。

がんゲノム医療とは

 がんゲノム医療とは、がん細胞の遺伝子を網羅的に調べ(「がん遺伝子パネル検査」)、がんと強く関わるドライバー遺伝子(がんの制御に一番大事な遺伝子)などの異常に基づいた治療を行う医療です。「がんゲノム医療中核拠点病院」を頂点として「がんゲノム医療拠点病院」「がんゲノム医療連携病院」が協力してがんゲノム医療が行われています。

当院の役割


 帯広厚生病院は、北海道大学病院(「がんゲノム医療中核拠点病院」)と協力しながら、必要とする患者さんにがんゲノム医療が届けられるよう体制整備を進めてきました。2024年2月より「がんゲノム医療連携病院」の指定を受け、がんゲノム医療支援科を設立し2024年4月から保険診療のもと「がん遺伝子パネル検査」を行っています。患者さんが、より良い医療が受けられるよう主治医を中心に関係職種が連携し支援していきます。不安や疑問なことは主治医や看護師等にご相談下さい。

1.がん遺伝子パネル検査とは

「がん」は様々な遺伝子の異常が積み重なることで発症し、仮に発症臓器が同じでも、その遺伝子の変化は個々の患者さんごとに異なることがわかってきました。さらにその遺伝子の変化の中には、がん細胞の生存に重要な特定の遺伝子が存在することが知られるようになり、既に特定の遺伝子の変異を標的とした治療薬(分子標的治療薬)が日常診療で使われています。
 しかし現在、日常診療の中で行われる検査では、遺伝子変異のごく一部しか調べることができません。「がん遺伝子パネル検査」は、がんの発生に関わる複数の「がん関連遺伝子」の変異を一度に調べることのできる検査です。パネル検査では、100種類以上の遺伝子を調べることが可能です。それぞれの患者さんがもつ「がん細胞」の遺伝子変異の組み合わせが明らかになることで一人一人にふさわしい治療を行なうことにつながると期待されています。(治療対象となる遺伝子変異が見つかっても、全ての方が治療に結びつくとは限りません)

2.保険適用の対象となる患者さんについて

  • 標準治療が終了となった固形がん(終了が見込まれる者も含む)患者さん、または標準治療がない固形がん(原発不明がん希少がんなど)の患者さん
  • 本検査の結果判明後に、見つかった遺伝子にあった治療を受けられる可能性が高い、全身状態や血液検査で問題のない患者さん
標準治療
科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であり、患者さんに行うことが推奨されている治療

原発不明がん
十分な検査を行っても、原発巣(がんが最初に発生した臓器)がはっきりせず、転移巣だけが大きくなったがんのこと

希少がん
患者数が少なく稀ながんのこと


3.検査の費用と種類について

1)がん遺伝子パネルの種類について

当院で施行している「がん遺伝子パネル検査」の種類は、下記4つがあります(2024年6月時点)。

「OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム」
「FoundationOne®CDxがんゲノムプロファイル」
「FoundationOne®LiquidCDxがんゲノムプロファイル」
「GenMine TOP がんゲノムプロファイリングシステム」

   検査の種類 解析遺伝子 販売企業
OncoGuideTM 
NCCオンコパネルシステム
組織+血液 124遺伝子 シスメックス
FoundationOne®CDx
がんゲノムプロファイル
組織 324遺伝子 中外製薬
FoundationOne®LiquidCDx
がんゲノムプロファイル
血液 324遺伝子 中外製薬
GenMine TOP
がんゲノムプロファイリングシステム
組織+血液 DNA:737遺伝子
RNA:456遺伝子
コニカミノルタ

「がん遺伝子パネル検査」の種類は、癌のタイプ、患者さんの経過、組織検体の有無・量・状態、各検査の特徴をふまえ「がんゲノム支援科」担当医と相談し決定します。

2)費用について
 「がん遺伝子パネル検査」は、保険診療として実施されます。高額療養費支給の対象となる可能性があります。費用は、検査を施行する時と、結果を説明する時の2回に分けて料金の支払いが必要です。

(1)がん遺伝子パネル検査の費用
1割負担の方   44,000円
2割負担の方   88,000円
3割負担の方    132,000円

(2)検査結果説明の費用
1割負担の方   12,000円
2割負担の方   24,000円
3割負担の方   36,000円
 検査後の治療費は含まれていません。検査の結果を元に治療を行う場合には、主治医と相談の上、実施することになります。

4.検査を受けることで役立つこと

  •  治療選択に役立つ可能性がある遺伝子の変化が判明する可能性があります。
  •  遺伝子の変化に基づき、治療効果が期待できる国内で承認済(保険適用)の治療薬の情報が得られる可能性があります。
  •  遺伝子の変化を標的とした、国内で行われている臨床試験(治験、先進医療等)で検討中の未承認薬・適応外薬の情報が得られる可能性があります。

5.検査を受ける際の注意点【重要】

  • すべての患者さんが検査の適応となるわけではありません。
  • 本検査を行っても、がん診断や治療に有用な情報が得られない可能性があります。
  •  本検査によって治療効果が期待できる治療薬の情報を提供されても、その治療薬の治療効果を保証するものではありません。
  • 本検査であなたのがん細胞で起こっている遺伝子変異に対して効果が期待される薬剤が見つかったとしても、あなたのがんに対してその薬剤が承認されていない場合薬剤の入手ができない、あるいは投与ができない可能性があります。また、保険診療で使えない薬剤の場合は、治療費は自己負担となります。
  • 「がんゲノム医療支援科」外来は、がんの治療・診断に関するセカンドオピニオン外来とは異なります。診断内容や治療方針について、当院の専門医の意見や判断を希望される場合には、別途、セカンドオピニオン外来をお申し込みください。

6.がんゲノム医療支援科外来・検査の流れ

  • 「がん遺伝子パネル検査」をご希望の際は、主治医にご相談下さい。
  • 主治医を介して「がんゲノム医療支援科」外来を予約してください。
  • 「がん遺伝子パネル検査」については、がん相談支援センターでも情報提供を行っています。どのような検査かお知りになりたい時等、お気軽にご相談下さい。
 外来
1回目
  • 「がんゲノム医療支援科」担当医から、患者さんとご家族に「がん遺伝子パネル検査」について説明します。
  • 説明後、看護師等が不安や疑問に対応します。
  • 今後のスケジュールや費用について説明します。
  • 次回受診日を相談します。
  • 次回受診日までに、がん遺伝子パネル検査を受けるかどうか考えて来て下さい。
  • ご家族の同席を希望される場合は、受診時に一緒に説明を聞くことができます。また、主治医からご家族の同席をお願いする場合があります。
外来
2回目
  • がん遺伝子パネル検査を受けるかどうか、患者さんのご意向を確認します。
  • がん遺伝子パネル検査に同意される場合は、同意書に署名をして頂きます。
  • 必要な場合には採血を行います(検査日が後日になる場合もあります。その際は別途ご案内致します)。
  • がん遺伝子パネル検査に必要な採血等を行った日に、遺伝子パネル検査費用がかかります。
  • 検体を発送し、がん遺伝子パネル検査が行われます。                                       (検査の種類によって結果説明までの期間に差が生じますが、おおよそ6-8週前後かかります)
 医療者間治療方針の検討
  • 検査結果が返却されたら、当院と北海道大学病院の医師が連携を図り患者さんに有効と思われる薬剤の情報を検討します。
 外来
3回目
  • 検査結果と提案される治療選択肢について説明します。
  • 結果説明日には、ご家族の同席をお願いする場合があります。
  • 結果説明後、看護師等が不安や疑問に対応します。
  • 検査結果の説明時にも費用がかかります。
  • 検査の結果・提案された治療選択肢の情報を主治医に連絡します(今後の方針については主治医と相談してください)。
  • 遺伝性腫瘍が判明した場合は、患者さん、ご家族の意向をふまえ遺伝カウンセリングの日時を調整します。
 

7.検査後の治療について

  • 「がんゲノム医療支援科」は、検査の提出~結果説明までを担います。
  • 現在、保険診療で認められている標準治療が行われている患者さんは、その標準治療が優先され、がん遺伝子パネル検査の結果に基づく治療は標準治療が終了した後の選択肢として考慮されます。
    ※標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であり、患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。
  • 「がん遺伝子パネル検査」の結果をもとに主治医と今後の治療方針について検討してください。
  • 「がん遺伝子パネル検査」の結果、保険診療で認められている薬が適応となることがあります。
  • 「がん遺伝子パネル検査」の結果、現在行われている治験に登録が可能と考えられた場合、主治医にその情報を提供します。登録の可否など含め、主治医と方針を相談してください。
  • 「がん遺伝子パネル検査」を実施しても、治療薬の選定に有用な情報が何も得られない可能性もあります。
  • 「がん遺伝子パネル検査」の結果に基づいて治療を行っても、十分な治療効果が得られない可能性もあります
  • 「がん遺伝子パネル検査」は、あくまでも主治医の判断に必要な情報を提供するものであって、がん遺伝子解析の結果が、主治医の判断よりも優先されることはありません。

8.遺伝カウンセリングについて

「がん遺伝子パネル検査」では、患者さんの治療に役立つ情報とは別に「遺伝性腫瘍」の可能性が判明することがあります。遺伝性腫瘍の可能性を知ることで、精神的な負担となることもありますが、患者さんや血縁者が、がんの予防や早期発見ができる可能性が高まると考えることもできます。検査を提出する際に「遺伝性腫瘍」に関する結果を知りたいか、知りたくないか、その意志をお伺いします。検査結果で「遺伝性腫瘍」の可能性が指摘された場合には、当院で臨床遺伝専門医の診察を受けることが可能です(遺伝カウンセリング)。
 遺伝カウンセリングは、疾患の遺伝学的関与について、遺伝性疾患の患者さんや家族・関係者が、その医学的影響、心理学的影響および家族への影響を理解し、それに適応していくことを支援していきます。将来的なリスクや状況に対する十分な情報を得た上で、今後どうしていくことが患者さんや家族・関係者にとって最良なのかを共に考え、患者さんや家族が今後どうするかを自ら選択し今後について意思決定できるよう診療や支援を行います。
 
遺伝性腫瘍
生まれながらに持っている遺伝子の性質の違いが原因で「がん」になりやすい体質になることがあります。このような「がん」のことを遺伝性腫瘍と呼びます。

9.他医療機関から当院へ紹介となる場合(医療機関の方々へ)

1)「診療情報提供書(予約票)」、「がんゲノム医療支援科コンサル用紙①」、「がんゲノム医療支援科コンサル用紙②(各レジメンごとに記載)」を下部よりダウンロードし、記載の上、1ヶ月以内の採血結果・病理組織報告書と一緒に地域連携室宛にFAXください。
 ※「がんゲノム医療支援科コンサル用紙①」と「がんゲノム医療支援科コンサル用紙②
   (各レジメンごとに記載)
」においては、後日メールでデータを送って頂く場合が
   ございますので、依頼元の医療機関様で患者様ごとにデータを保管ください。
2)「がんゲノム医療支援科」が遺伝子パネル検査の適応か確認します。
3)検査の適応時期と考えられ、さらに全身状態および臓器機能等から適応と判断された場合は、地域医療連携室より予約の連絡をいたします。
4)患者様の受診当日は、当院の1階2番優先窓口にお越しいただきます。
 地域医療連携室宛FAX:0155-65-0136


 検査には基本的にホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本が必要です。検体の準備につきましては、ご紹介いただいた先生にお願いをしております。患者さんが当外来を受診、検査を希望された場合、FAXにて病理検体の検体送付依頼書を送らせていただきます。その指示に則り、検体の準備をお願いします。


ご提供いただくホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックおよび標本について

  • 原則として、3年以内に作製されている検体であることが重要です。
  • 原則として、検体組織中の腫瘍細胞の占める割合が、20%以上のもの。
  • 過去に受けた放射線治療の照射範囲に含まれていた組織の標本は検査に使用できない場合があります。
  • 原則としてブロックでの貸し出しにご協力ください。
  • やむを得ずブロックが準備できない場合は、未染色FFPE切片標本の作製をお願いします。(作成過程で切片の加熱乾燥は行わないでください。加熱乾燥後の検体は検査に使用できません。)

10.お願いしたいこと

  • がん遺伝子パネル検査では、基本的に手術等の組織検体が必要となります。検査に必要な検体の品質や量によっては、がん遺伝子パネル検査自体が困難となる場合や再検査が必要となることがあります。
  • がん遺伝子パネル検査に必要な検体を提出してから結果が判明し結果説明するまで約6-8週間の時間が必要となります。状況によっては、更に時間を要する場合がありますのでご了承下さい。
  • がん遺伝子パネル検査の提出は、外来診療の範囲で行います。
  • がん遺伝子パネル検査をご希望の際は、ご家族にもご相談をして下さい。医師からの説明時は同席をお願いしています。
  • がん遺伝子パネル検査を希望され、不安や疑問がある場合、がん遺伝子パネル検査を希望され、意向等の変化があった場合は早めにご相談下さい。

11.相談窓口

 がん遺伝子パネル検査や今後のスケジュールについて、不安や疑問がある場合は、下記にご連絡下さい。主治医、がんゲノム医療支援科や関連職種と連携を図りながら、ご相談に対応致します。

 帯広厚生病院  がん相談支援センター
  相談時間:平日8:30~17:00(夜間や休日は対応できません)
  電話番号:0155-65-0101
 

最終更新日:2024年06月28日

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