薬局の業務は外来・入院患者への調剤、薬の説明、院内医薬品の安全性の評価、医薬品情報の収集等多岐に渡っています。常に患者様にとって有効かつ安全な医薬品の供給を目指し、日夜努力を重ねています。
調剤業務
調剤業務は、まず医師による処方オーダによって始まります。
処方は病院内にある各パソコンからオーダされ、コンピュータによる監査や薬剤師による監査を経て、調剤室のプリンターから処方箋が印刷されます。1つ1つの処方箋にはQRコードが印刷され、専用の機械で読み取ることで調剤を行います。人の目と機械による確認で、より正確な調剤を行っています。
散薬は、薬剤師が1つ1つ量り取り分包する方法と、全自動の機械による分包の2種類があり、コンピュータにより振り分けられ行われます。
錠剤やカプセル剤の一包化は機械によって行われ、一包ずつカメラによる確認が行われています。もし間違えがあった場合はモニターで画像により確認することができます。
取り揃えられた薬剤は、最後に薬剤師によって監査されます。モニターに映る処方内容や手元の処方箋などを見ながら適切な調剤がされているか確認していきます。また、1つ1つの薬袋と各薬剤をバーコードによる認証を行うことで、入れ間違いの対策をしています。さらに、監査の様子をカメラで記録し、薬の過不足などの問い合わせに対応しています。
窓口では、お名前確認とともに引換券と処方箋の認証を行うことにより、渡し間違えを防止しています。お薬をお渡しするとともに、お薬に関する相談にも応じています。
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医薬品情報業務
製薬企業や行政、学術団体などから様々な医薬品情報を収集し、その内容について評価し、必要に応じて病院内に周知します。また、病院内で発生した副作用に関する情報についても医薬品情報室で一元管理し、PMDAや病院内に報告しています。
患者さんや病院スタッフからの医薬品に関する問い合わせへの対応も日々おこなっています。
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薬品管理業務
薬品管理業務は、薬剤師2名と医療助手1名で行っています。主な業務は、病院内で使用する全ての医薬品の購入、管理、供給です。
医薬品の購入・管理・供給
当院は、約2300品目の薬品が使用されています。飲み薬、貼り薬、目薬、注射薬など多くの薬品を取り扱っています。薬品管理室では、厚生連独自の流通体制の中、これらの薬品の購入・保管・品質管理を行い、外来・入院の患者さんに安定的な供給ができるよう努めています。
医薬品の品質を保つために、倉庫内の温度は25℃を保っています。また、医薬品によっては、冷所で保管する必要があります。当院では、温度を4℃以下に保ったプレハブ低温室で保管しています。
注射薬調剤業務
外来および入院患者さんが薬物治療で用いる注射薬の調剤を行っています。医師が電子カルテから入力する注射薬指示を、患者さん毎に1日分づつ用意して用法用量、相互作用、配合変化、投与速度など、薬が正しく安全に使用できるように確認したうえで、外来および病棟へ注射薬を供給しています。
また、当院で1日に使用される注射薬は約2300件です。多くの種類と数量が使用されていますので、自動注射調剤払出装置を2台導入しています。注射薬の取り違い防止や業務効率の向上に取り組んでいます。
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製剤業務
製剤室での業務は大きく分けて、院内特殊製剤調製・高カロリー輸液調製・抗がん剤の注射剤混合調製から成り立っています。薬剤師がその専門性を活かして製剤業務を行うことは、個々の患者さんに最適な薬物療法を提供するとともにQOLの向上にも貢献できるものと考えます。
院内特殊製剤調製業務
院内特殊製剤(院内製剤)とは、治療に必要な医薬品でありながら、企業による採算性、あるいは安定性の確保が難しいなどの理由により市販されていない薬剤を、病院の薬剤部の製剤部門にて調製し製剤化したものを指します。PL法(製造物責任法:製造物の欠陥から生じた損害の賠償責任について規定した法律)の法的背景にも準拠しながら、当院では内服剤・注射剤・外用剤など様々な分類の院内製剤を調製しています。時には、眼科用剤など細菌汚染に配慮しクリーンな専用設備環境下での調製や、市販されている内服薬を坐薬として製剤化するなどの対応も行っています。
高カロリ-輸液無菌調製業務
手術の直後や消化器の疾病などの理由で食事を経口摂取できない患者さんには、アミノ酸・ブドウ糖・脂肪などを含む高カロリー輸液が中心静脈(鎖骨の下の太い静脈)から投与されます。製剤室では、この高カロリー輸液を無菌室内のクリーンベンチ(周囲からの微生物の混入などを避けるための装置)において混合調製しています。調製前には、組成のチェックや医師への情報提供を行い、安全かつ効果的な栄養療法の実施に携わっています。
抗がん剤の注射剤混合調製
がんの三大療法のひとつである抗がん剤治療(化学療法)は、局所的な治療法である手術療法・放射線療法に対し、より広範囲に治療の効果を及ぼすことが期待できます。化学療法は、がんの種類により、適切な薬剤の組み合わせ・投与量・投与間隔などが、治療計画(レジメン)として定められています。当院で使用されるレジメンは、すべて院内の専門委員会で安全性や有効性が検討されており、抗がん剤単独で治療を行うこともあれば、手術治療や放射線治療などの他の治療と組み合わせて行うこともあります。製剤室では、治療の実施にあたり、レジメンをもとに身長・体重・血液検査値などの患者さん一人ひとりの状態を把握し、抗がん剤の適正使用に努めています。加えて、抗がん剤は極めて強い細胞毒性があるため、調製の際には医療スタッフが暴露しないように安全キャビネットという専用設備にて無菌的に調製を行っています。さらに、揮発性が高い特定の薬剤については専用の器具を用いて投与を行っています。
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薬剤管理指導業務
当院では、入院患者さんの安全で効果的な薬物療法をサポートすることを目的に、病棟に専任の薬剤師を配属しています。
担当薬剤師は、患者さんに服薬の意義を理解していただくとともに、医師をはじめとする病棟スタッフに情報を提供するよう努めています。
服薬指導
入院時には、患者さんとの面談により、現在服用中の薬剤、市販薬やサプリメント、過去の副作用歴など必要な情報を確認しています。同時に治療や検査を行う上で、注意しなければならない薬剤やお薬の飲み合わせ(相互作用)なども確認しています。
入院中には内服薬、外用薬、注射薬についての飲み方や使い方、効果、副作用などの説明を行っています。また、患者さんのところに伺う時間以外でもお薬が安全・適切に使用されるよう、薬剤師は常に目を配っています。
退院時には、処方されたお薬の名前、飲む量や使用回数、使うときの注意などが書かれた”おくすりの説明書”や”おくすり手帳”を必要に応じてお渡しし、他の医療機関でも活用できるようにしています。
医薬品情報の提供
お薬がなかなか覚えられない、飲み忘れてしまう、といった患者さんには、わかりやすい説明書を作成するなどして、理解や管理を支援しています。また、腎臓の機能や血液中のお薬の濃度などから薬剤の有効性・安全性を判断し、投与量の提案も行っています。
その他、薬剤師として専門的な知識を活かし、医師や看護師からの質問にも対応しています。
回診・カンファレンス等への参加
回診同行、面談同席、申し送り、カンファレンス等に参加しています。医療スタッフ内の統一した見解で、患者さんに対応できるよう情報を共有しています。
また、当院には救急・集中治療病棟があり、様々な疾患をもった患者さんが搬送されてきます。一刻を争う現場において、患者さんの服薬歴、アレルギー歴などを迅速に把握し、医師、看護師などのスタッフに情報提供することでスムーズな治療を目指しています。
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チーム医療への薬剤師の参画
栄養サポートチーム NST (Nutrition Support Team)
NSTとは、栄養障害のある患者さんに適切な栄養療法が行われているかチェックし、適切な質の高い栄養管理を提供するチームです。主に薬剤師は、病態に応じた適切な輸液・経腸栄養剤などの処方提案を行っています。また、食事内容や検査値などの他職種の専門的な知識を共有してカンファレンスを行っています。
緩和ケアチーム PCT (Palliative Care Team)
緩和ケアとは、がんによる身体的な痛みや精神的・社会的な苦痛に対して、包括的に患者さま自身やご家族にサポートするチームです。主に薬剤師は、他職種へ疼痛などの各種症状の管理に有効な処方提案を行っています。
感染対策チーム ICT (Infection Control Team) および
抗菌薬適正使用支援チーム AST (Antimictobial Stewardship Team)
ICTとは、院内で起こるさまざまな感染症から患者さまや職員を守るために活動を行う組織です。また、ASTは、治療効果の向上、副作用防止、耐性菌出現のリスク軽減を目的として抗菌薬の適正使用を支援します。主に薬剤師は、TDM実施による適正な投与設計、抗菌薬の使用量調査、MRSA薬・カルバペネム系抗菌薬の適正使用の監査を行い、抗菌薬の適正使用を担っています。
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治験業務
治験担当の薬剤師を中心に、治験薬の受入れ、治験薬の管理や依頼メーカーとの応対等主に治験事務局の業務を実施します。
医師をはじめとした様々な医療スタッフと連携し、中でも薬剤師の担う役割は非常に大きいものがあります。